保育園でプール遊びや水遊びを行う狙いは?アイデアや内容の例を紹介

夏に保育園や幼稚園で盛んに行われるプール遊びや水遊びは、1年のうちで暑い時期にしか行われない季節限定の活動です。
この記事では保育活動でプール遊びや水遊びをする狙いや安全に楽しく活動するために必要な情報や具体的な遊びについてお伝えします。
保育園や幼稚園などでプール遊びや水遊びをする狙い
保育園や幼稚園などでプール遊びや水遊びを行う狙いは水に慣れ、遊びを楽しむためだけでなく、水の危険性や水遊びをするときのルールなどを学ぶためともいえます。
水に慣れるため

子どもの中には水に恐怖心や抵抗感がある子もいますが、発達段階に合わせたプール遊びや水遊びをすることによって徐々に水に慣れ、水で遊ぶ楽しさを感じられるようになります。
水に手や足をつけて「冷たい」という感覚を感じたり、水を手ですくってこぼれ落ちるようすを観察したり、水から得られる感覚はさまざまです。
保育園や幼稚園に通う子ども達は水の感覚を五感で感じながら、その感覚刺激を通して感性を磨いていきます。
水で遊ぶことで水に慣れ親しみ、水を怖がっていた子どもも段々と活動が楽しくなるように導いてあげることが大切です。
水の危険を学ぶため

水遊びは楽しいだけではなく、一つ間違えると溺死するほどの危険性があることも覚えておかなければなりません。
幼児期の子の頭は重く、プールをのぞきこんだだけで頭から水に落ちてしまうことも考えられます。たった5センチの深さしかないプールでも、うつぶせで倒れてうまく起き上がれない場合、溺れてしまう可能性もあります。
また、水は滑りやすく、水遊びで興奮した子どもが他の子どもを押して滑って転んで怪我をしてしまったり、水に潜って遊んだりすることで鼻と口から水が入って溺れてしまったりする可能性も考えられます。
水遊びはルールを守り、気を付けて遊ばないと危ないこともあるということをしっかりと子どもたちに伝えましょう。
水で安全に楽しく遊ぶように指導し、目を離さないことが重要です。
夏の熱い体を冷やすため

猛暑で汗をかきやすく、熱中症になりやすい季節に水遊びをすると、火照った体を冷やすことができます。
また、水に入っていたとしても炎天下の中ずっと頭から日差しを浴びつつけているとプールの中でも熱中症になることがあります。
帽子を被ったり、こまめに休憩をとって日陰で水分補給をとったりすることで熱中症を予防しましょう。
子どもたちは暑い中、冷たい水で遊ぶことでクールダウンし、気持ちよさを体感することができます。
プール遊びや水遊びのアイデアと必要なアイテム
ここからは具体的にどのようなプール遊びや水遊びがあるのか、アイデアと準備するものについて説明します。年齢に合わせた遊び方があるので参考にしてください。
おもちゃすくい・金魚すくい

おもちゃや金魚などの魚を模したものなどをプールに入れ、お玉やポイですくう遊びです。
物をつかんだり、歩いたりできる1歳ごろから遊ぶことができます。
プールの中を歩きながらおもちゃを見つけ、すくって指定の場所や入れ物に入れていきます。
年齢が低い場合はすくいやすいお玉にして、年齢が高くなってくるとポイに挑戦しましょう。難易度もつけやすく幅広い年齢層の子どもたちがいる保育園ではおすすめの遊びです。
すくうことが目的ですが、小さい子の中にはすくったおもちゃを口に入れたりしてしまう子もいるかもしれません。誤嚥や窒息につながるため、おもちゃの大きさはある程度大きなもの、形も飲み込みやすい丸ではなく、いびつな形のものにするとよいでしょう。
色水作り

水遊びはプールに入ったり、水鉄砲で体を濡らしたりしなくても行うことができます。ペットボトルと水、絵の具を用意します。ペットボトルに水を入れ、好きな色の絵の具を入れると色水ができます。
色水遊びは絵の具の色が水に溶けていく様子を観察することで視覚的な感覚を刺激することができます。
違う色を混ぜるとどんな色になるか実験したり、お店屋さんごっこをしたりして年齢に合わせた遊び方ができるのもメリットです。
水鉄砲や水かけ遊び

水鉄砲や水かけ遊びはプールに入ることなく遊べる水遊びです。体に水がかかることで暑い日でも外で涼しくなることができます。
水鉄砲は水圧が高いものもあるので、顔に向けて打たないなどルールを決めましょう。
また、手だけで作る水鉄砲で遊ぶのもおすすめです。家に帰ってからお風呂で遊ぶこともできます。
低年齢の子はジョウロで遊ぶのもよいでしょう。ペットボトルの底や側面にきりなどで何か所か穴を開けると手作りのジョウロができます。穴を開けるときは危ないので大人が開けてあげるとよいでしょう。
グループに分かれて水かけあそびをするのもおすすめです。
最初は体にかけて、徐々に顔に向かって水かけ遊びをすると水がかかることが楽しいと感じる子もいるでしょう。
顔に水がかかることを嫌がる子もいるので、子どもの水への恐怖心の度合いによって水遊びの内容を考えましょう。
ワニやカニさん歩き

プールの中を両手両足をついてワニのように歩いたり、カニのポーズをしながら体を低くして歩いたりしてみましょう。顔が水面に近くなるので、プールに顔をつけて泳ぐ前段階として恐怖心を減らし、水に慣れることが目的です。
水の中ではバランスがとりづらく、転んでしまう子や水面に顔が近づくことを怖がる子もいるかもしれません。溺れないように注意して見守り、手で支えるなどサポートをしてあげるとよいでしょう。
かるたで宝探しゲーム

プールの水面にかるたを浮かべ、プールの底面に宝を沈めてかるたにかかれたお題を探して宝を見つけるゲームです。
プールに顔をつけて潜れる年齢が対象です。
食品トレイや紙皿など水に浮く素材のものに食べ物や生き物、色などのお題を書いて、プールに浮かべます。石のように重さのあるものにアクリル絵の具でお題の絵を書いたものをプールの底に沈めてお題のものと同じものをプールの底から見つけ出します。
100円ショップの宝石も使うことができますが、底に沈めるものは素足で踏んでも痛くないよう、角がないものにしましょう。
水の中で目を開けにくい場合は、水中めがねを使って探す方法もあります。
プール遊びや水遊びを行う上で気を付けるポイント
プール遊びや水遊びは危険も伴います。安全に楽しく活動を行うために、気を付けるべきポイントを説明します。
当日の体調チェックを行う
水が体にかかるプールや水遊びは体調のよい時に行いましょう。保育園や幼稚園の場合は、保護者の人に以下のリストにあげた項目を報告してもらうようにします。
<体調確認項目>
- 当日朝の体温
- 睡眠時間
- 朝食の有無
- 鼻水や咳の有無

朝は元気でも、登園してから体調が悪くなる子もいます。プールを行う直前にも改めて保育士や先生が体調が悪い子どもはいないか、しっかりと確認するようにしましょう。
水質確認や点検を行う
保育園や幼稚園で使う簡易プールは、使うたびに水質確認を行うことが重要です。
ためた水はすぐに水質が悪くなってしまうので、決められた量の塩素で消毒をしたり、定期的に水を入れ替えて清掃するなど衛生面に気を付けましょう。
プールの下にも石などの突起物はないか、プール自体に破損はないかなどの点検は活動の前に必ず必要です。
遊ぶおもちゃにも誤飲する可能性がある小さなものはないか、劣化して怪我をする危険はないか、安全に遊べるものだけをチェックしておきましょう。
監視体制を整えて事故がおきないようにする
子どもたちは水遊びに夢中になり、いつもより激しい行動をしたり、声が大きくなったりすることがあります。遊びを指導する先生は指導することや目立った行動をする子どもに注意がいき、全員を見ることが難しい瞬間があるかもしれません。
水遊びやプールを行うときは、指導する先生と監視する先生といったように役割を分け、事故がおきないように細心の注意を払うことが重要です。監視する先生は一人ではなく、二人以上にしましょう。子どもに話しかけられて監視の目を離す瞬間がないようにしなければいけないためです。
帽子や監視役がわかるようなベストを着るなど、子どもたちからも「一緒に遊ぶのではなく、見守る人」だと伝えておくようにするとよいでしょう。
潜ったり、うつぶせで倒れたりしている子はいないか、怪我や気分が悪くなってそうな子はいないかなど緊張感を持って見守り活動を行いましょう。
子どもたちにルールや危険を共有する
水遊びはルールを守らないと危険なこともあります。子どもたちにも事前に守るべきこと、どういうことをすると危険なのかについて話しておくことが大切です。
以下のようなルールを守らないとどうなるのか、具体的に絵や言葉で説明しておきましょう。
【水遊び前のルール】
- 体調が悪い人は先生に伝える
- プールや水遊びの前にトイレに行く
- 準備体操を行う
【水遊び中のルール】
- 友だちを押さない
- 友だちをひっぱらない
- 友だちの嫌がることをしない
- 水に急に飛び込んだり、潜ったりしない
- プールの中や周りは歩く
- 先生のプールから出る、やめるなどの指示を聞いたらすぐに行動する
【水遊び後のルール】
- 使ったものはお片付けする
- 体が冷えないようにタオルで体を拭いて服を着る
- 体調が悪くなった人は先生に伝える

水遊びは暑い時期だけに行う特別な遊びです。いつもの遊びとは違うことで子どもたちも興奮し、行動が激しくなる可能性があります。大きな怪我や事故につながることがあるので、子どもたちと一緒に水遊びのルールを復唱したり、クイズにしたりしながら理解を深めましょう。
熱中症や日焼けなどに注意する
水遊びに夢中になって、長時間遊んでしまったり、直射日光で日焼けしてしまったりするので注意が必要です。また、水分補給をしないと脱水症状になってしまう可能性があります。
休憩の時間になったら日除けのあるスペースで休憩し水分補給をするなど時間を決めて活動を行いましょう。
日焼け止めを事前に塗ることも対策の一つですが、肌の弱い子もいるため、保護者に事前に確認することが必要です。
元気に遊んでいたのに急に熱中症の症状が出て具合が悪くなることがあります。プールの近くに横になるスペースや水筒、体が冷えないようにする大判のタオルなどを準備しておきましょう。
まとめ
保育園や幼稚園でプール遊びや水遊びをする狙いは、水に慣れ、水の危険性を学び、暑い季節に涼しく快適に過ごすためだといえます。
年齢によって水遊びの方法を変え、水に対する恐怖心がある子は徐々に慣れるようにゆっくりと見守ることが大切です。
また、一歩間違えば事故につながる危険性があることを理解したうえで、子どもたちが安全にプール遊びや水遊びの活動が行えるようにサポートしてあげましょう。